草津や伊香保といった日本を代表する名湯から、大自然が織りなす絶景、さらには歴史を感じるノスタルジックな遺構まで、多種多様な顔を持つ群馬県。数多くの観光名所が存在しますが、せっかく訪れるなら表面的な観光だけでなく、その場所に秘められた歴史や、現地ならではのリアルな空気感を深く味わいたいものです。
この記事では、群馬県を訪れる旅行者に向けて、絶対に外せない主要スポットを厳選しました。絶景を撮影するベストな時間帯や、混雑を避けるための駐車場事情、さらには現地での賢い立ち回り方など、ガイドブックの一歩先を行くディープな情報をお届けします。
伊香保温泉石段街
📍 住所:日本、〒377-0102 群馬県渋川市伊香保町伊香保76−5
伊香保温泉のシンボルである「石段街」は、約450年前から続く歴史ある温泉街です。1576年頃、長篠の戦いで負傷した兵士たちの療養場所として、武田勝頼の命を受けた真田昌幸が整備したと伝えられています。傾斜地に造成された365段の階段の中央には、温泉を流す「湯樋(ゆどい)」が敷設され、その左右に旅館が整然と並ぶという、日本の温泉街の原型とも言える画期的な都市計画がなされました。いざ戦いとなった場合の防衛拠点として、道が曲がりくねった構造になっている点も歴史ロマンをくすぐります。
石段の両側には、昔ながらの射的場や土産物店、カフェが軒を連ね、浴衣姿で歩くだけで昭和にタイムスリップしたようなノスタルジーに浸ることができます。ただし、365段の階段は想像以上に長く、一気に上まで登りきるのはそれなりに体力を使います。足腰に不安がある方や小さなお子様連れの方は、途中の店で名物の「温泉饅頭」や「玉こんにゃく」を食べ歩きしたり、足湯で一休みしながらマイペースに回るのが鉄則です。
近年は漫画やアニメの聖地としても注目を集め、休日や連休は多くの観光客で賑わいます。人の少ない情緒ある風景をゆっくりと写真に収めたいなら、朝9時台のまだ店が開く前の静寂な時間帯か、提灯がノスタルジックに灯る夕暮れ以降を狙うのがおすすめです。特に夜のライトアップされた石段街は、昼間とは全く異なる艶やかな表情を見せてくれます。
草津温泉湯畑
📍 住所:日本、〒377-1711 群馬県吾妻郡草津町草津
日本三名泉の一つ、草津温泉の中心に鎮座する「湯畑」。到着した瞬間に漂う強烈な硫黄の香りと、もうもうと立ち上る湯けむり、そしてエメラルドグリーンに輝く温泉の色彩は、訪れる者を一気に非日常へと引き込みます。毎分約4,000リットルも湧き出る約52℃の高温な源泉を、7本の木樋に通して外気に触れさせることで、水で薄めることなく適温まで冷ますという、江戸時代から続く先人たちの知恵が今も生きています。
現在見られるロータリー状に整備された美しい石柵や遊歩道は、1975年に芸術家・岡本太郎氏がデザイン監修を手がけたもの。「温泉地を世界の草津へ」というビジョンのもとに造られたひょうたん型の景観は、伝統とモダンが見事に融合しています。周囲には無料の足湯や「手洗乃湯」もあり、圧倒的な湯量を誇る滝湯は息を呑む迫力です。
周辺は道が非常に狭く、歩行者も多いため、車でアクセスする場合は少し離れた「湯畑観光駐車場(180台収容)」に停め、徒歩で散策するのが最もストレスのない正解ルートです。また、湯畑周辺は昼と夜で完全に顔を変えます。昼間は温泉たまごや「あげまんじゅう」を片手に活気ある温泉街を満喫し、夜は照明デザイナーが手がけた幻想的なライトアップを堪能する。草津に滞在するなら、必ず昼夜両方の表情を目に焼き付けてください。
めがね橋
📍 住所:日本、〒379-0307 群馬県安中市松井田町坂本
碓氷峠の険しい山間にひっそりと佇む「めがね橋(碓氷第三橋梁)」は、1892年(明治25年)に建設されたレンガ造りの4連アーチ橋です。新幹線の開業に伴って1997年に廃線となった信越本線の旧路線跡であり、幾度もの地震を乗り越えて今もなお健在なその姿からは、当時の建設技術の高さと歴史の重みがひしひしと伝わってきます。
現在、この廃線跡は「アプトの道」という遊歩道として整備されており、橋の下から見上げる圧倒的なスケール感を楽しめるだけでなく、階段を登って橋の上を実際に歩くことができます。橋の上から見下ろす谷底の景色は足がすくむほどの高さですが、ここから続くトンネル群を歩くハイキングは格別です。照明が灯るノスタルジックなトンネルを抜けながら旧熊ノ平駅方面へ向かうルートは、片道約1.3km、往復で50分ほど。ちょっとした冒険気分を味わうのにぴったりの距離感です。
アクセス面では、橋から200〜300mほど離れた場所に無料の専用駐車場があるため、車での訪問が便利です。新緑や紅葉の季節にはレンガの赤と自然のコントラストが息を呑むほど美しく、過去に有名ドラマのロケ地としても使われました。日常を忘れて廃線のロマンに浸りたい旅行者に、ぜひ訪れてほしい穴場的スポットです。
四万の甌穴群
📍 住所:日本、〒377-0601 群馬県吾妻郡中之条町四万3520
四万温泉の入り口、国道353号線沿いを流れる四万川に現れる「四万の甌穴(おうけつ)群」。甌穴とは、川の流れが渦巻き状になることで石や砂が同じ場所を循環し、数万年という途方もない歳月をかけて川底の岩盤をすり鉢状にくり抜いた穴のことです。大小8つの甌穴が点在するこの一帯は、1971年に群馬県の指定天然記念物に登録されました。
ここの最大の見どころは、何と言っても「四万ブルー」と称される透き通ったインディゴブルーの清流です。近年は安全上の配慮から川のすぐ近くまで立ち入ることはできず、柵越しからの見学となりますが、それでも遠目から伝わる圧倒的な自然のパワーと、吸い込まれそうなほど美しい水の色は一見の価値があります。
見学自体は10〜15分ほどでサクッと回れるため、四万エリアへのドライブの休憩がてらに立ち寄るのがベストなプランです。無料の広い駐車場が完備されており、敷地内にはおしゃれで清潔なトイレや、地元の物産が買えるエリア、さらには美味しいスイーツや蕎麦が食べられるカフェも併設されています。四万温泉や奥四万湖へ向かう前のプロローグとして、ぜひ立ち寄ってみてください。
ロックハート城
📍 住所:日本、〒377-0702 群馬県吾妻郡高山村中山5583−1
群馬県の山奥に突如として現れる中世ヨーロッパの世界「ロックハート城」。ここはレプリカのテーマパークではなく、1829年に英国スコットランドに建設された本物の古城です。俳優の故・津川雅彦氏が私財を投じて購入し、シベリア鉄道を経由して日本へ輸送。1993年に群馬県高山村で復元されるという、途方もないロマンと情熱によって誕生した日本で唯一の移築古城です。
園内には美しい庭園や石造りの教会が広がり、これまでに『相棒』や『翔んで埼玉』など数々の映画やドラマ、特撮作品のロケ地として使用されてきました。ここで圧倒的な人気を誇るのが、500着以上の中から好きなドレスを選んで写真撮影ができる「プリンセス体験」です。サイズ展開も豊富で、大人から子供、カップルでのタキシード利用まで幅広く対応しており、リーズナブルな価格で本格的なお姫様気分を味わえます。
敷地内には、津川雅彦氏が収集した1,100体以上のサンタクロースが並ぶミュージアムや、ダイアナ元妃の御料車など、ディープな展示も見逃せません。ペット連れでの入園も可能で、のんびり見て回って滞在時間の目安は2〜4時間程度。周囲に他の大型観光施設は少ないため、草津温泉や伊香保温泉に向かう道中のメインイベントとして旅程に組み込むのがスマートな楽しみ方です。
群馬観光を120%楽しむためのローカルTips
群馬県の主要な観光スポットは、それぞれが離れたエリアに点在しています。例えば、伊香保温泉から草津温泉までは車で約1時間〜1時間半、めがね橋のある安中エリアから四万温泉やロックハート城までも距離があるため、1泊2日の旅行であれば「エリアを絞る」か「移動時間に余裕を持ったスケジュール」を組むことが成功の秘訣です。
また、山間部の道はカーブが多く、休日や紅葉シーズンには一本道で渋滞が発生しやすくなります。温泉街の中心部は道が狭く歩行者も多いため、宿の駐車場や公式の大型駐車場に早めに車を停め、現地では徒歩で身軽に動くスタイルがもっとも快適です。歴史ある名湯と大自然、そしてノスタルジックな遺構が共存する群馬県で、あなただけの特別な非日常をぜひ体験してみてください。
