台湾南部の熱気と港町の風情が交差する街「高雄」
台湾第2の都市である「高雄(カオシュン)」は、一年を通して温暖な気候と、港町ならではのおおらかで開放的な雰囲気が魅力の街です。台北からは台湾新幹線(高鐵)に乗れば約1時間半から2時間弱でアクセスでき、日帰り旅行も可能ですが、数日滞在してのんびりとローカルな空気を味わうのが断然おすすめです。
近年は市内をぐるりと結ぶLRT(ライトレール)が全線開通し、かつてはアクセスしづらかったベイエリアや観光地への移動が劇的に便利になりました。古い建物をリノベーションした最先端のアートスポットから、古き良き台湾の熱気が渦巻く夜市、そして雄大な自然と歴史が息づくパワースポットまで、高雄には多彩な顔があります。
この記事では、高雄を訪れる旅行者が「絶対に外せない」厳選された5つの観光名所をピックアップ。単なるスポット紹介にとどまらず、ベストな訪問時間帯や、地元民から愛される必食グルメ、ディープな見どころといったリアルな情報をお届けします。
美麗島駅 光の穹頂
📍 住所:800 台湾 Kaohsiung City, Sinsing District, Zhongshan 1st Rd, 115號B1
高雄観光の起点とも言える地下鉄(MRT)美麗島(メイリーダオ)駅。ここは単なる交通機関の通過点ではなく、駅そのものが世界レベルの美術館のようなアート空間です。かつて英紙で「世界で最も美しい地下鉄駅」の上位に選出されたことでも知られています。
改札外の地下1階コンコースに降り立つと、目の前に広がるのは直径30メートルに及ぶ巨大なステンドグラスのドーム「光之穹頂(The Dome of Light)」。イタリアのステンドグラス芸術家、マエストロ・ナルシサス・クアグリアータ氏が4年半の歳月をかけて手掛けたこの作品は、4500枚ものガラスを使用し、「水・土・光・火」の4つのエレメントで人間の歴史や生命の輪廻を描き出しています。色彩の豊かさと圧倒的なスケール感に、足早に歩く地元の人々の中で、思わず立ち止まって見入ってしまう旅行者が後を絶ちません。
ドームの下では、一日に数回、光と音楽のショーが行われます。時間が合えばラッキーですが、ショー以外の時間帯でも床にプロジェクションマッピングの映像が流れていることがあり、十分に楽しめます。また、地下のステンドグラスだけでなく、地上に出た際の駅の出入口にも注目してください。日本の建築家・高松伸氏が「合掌」をモチーフに設計したガラス張りの建造物は、それ自体が目を引くランドマークとなっています。
六合夜市
📍 住所:Liuhe 2nd Rd, Sinsing District, Kaohsiung City, 台湾 800
美麗島駅の11番出口から歩いてすぐという、アクセス抜群の立地にある「六合夜市(リウホーイェースー)」。高雄を代表する観光夜市でありながら、地元の熱気も色濃く残る食のパラダイスです。道の両側に屋台がずらりと並びますが、歩行者天国となる道幅が非常に広いため、他の夜市のような息苦しさがなく、ベビーカーや子連れの旅行者でもゆったりと食べ歩きを楽しめるのが最大の魅力です。
港町・高雄の夜市らしく、新鮮なエビやカキ、イカのフライといった海鮮系屋台が充実しています。そして、絶対に食べておきたいローカルグルメが「肉圓(バーワン)」です。千と千尋の神隠しに登場する謎の食べ物のモデルとも言われる肉圓ですが、台湾北部では「油で揚げる」のが主流なのに対し、ここ高雄などの南部では「蒸す」スタイルが一般的。プルプルでモチモチの皮の中に肉餡が詰まっており、甘じょっぱいタレとニンニクを絡めて食べると絶品です。人気店は整理券や番号札制になることもあるため、見つけたら迷わず注文しましょう。口休めには、台湾夜市の定番である濃厚な「木瓜牛乳(パパイヤミルク)」がぴったりです。
屋台のおじちゃん、おばちゃんは日本語が通じないことも多いですが、指差しや英語を交えて一生懸命コミュニケーションを取ってくれる温かさがあります。活気が出るのは夕方18時以降。道の真ん中に共用のテーブルと椅子が置かれているので、気になる屋台飯を持ち寄って台湾ビールで乾杯する最高の夜を過ごせます。
Dragon and Tiger Pagodas(龍虎塔)
📍 住所:No. 9號, Liantan Rd, Zuoying District, Kaohsiung City, 台湾 813
高雄の中心部から少し足を伸ばした左営エリアにある「蓮池潭(れんちたん)」は、巨大な湖の畔に色鮮やかな道教寺院や中華風の楼閣が立ち並ぶ、高雄随一のパワースポットです。その蓮池潭のシンボルとも言えるのが、水上にそびえ立つ双子の塔「龍虎塔」です。
長らく大規模な改修工事が行われていましたが、2025年に工事を終え、2026年現在は鮮やかに塗り直された美しい姿を取り戻しています。ここでの最大のルールは、「必ず龍の口から入り、虎の口から出る」こと。台湾では龍は最も善良な動物、虎は最も凶暴な動物とされており、この順序を守って胎内巡りをすることで「これまでの罪や災いが浄化され、福に変わる」と信じられています。間違えて虎から入らないように気をつけましょう。内部の壁に描かれた極彩色の仏教・道教の物語(親孝行の逸話など)も見応えがあります。
塔の上層階まで階段を登り切ると、心地よい風とともに蓮池潭全体を見渡す絶景が待っています。日中は観光客で非常に混雑し、さらに台湾南部の強い日差しを遮る場所が少ないため、観光のベストタイミングは朝8時頃のオープン直後。涼しいうちにのんびりと湖畔を散策し、周辺にある春秋御閣や湖上に浮かぶ五里亭などと併せて、台湾らしいエキゾチックな景観を満喫してください。
駁二アート特区
📍 住所:No. 1號, Dayong Rd, Yancheng District, Kaohsiung City, 台湾 803
高雄港の沿岸部にある「駁二(ばくに)アート特区」は、かつて日本統治時代から戦後にかけて使われていた古い倉庫群をリノベーションした、高雄のカルチャー発信地です。現在では、国内外のアーティストによる巨大なウォールアートや、ユニークな屋外オブジェが敷地内の至る所に点在し、どこを切り取っても絵になる「インスタ映え」スポットとして若者や観光客に絶大な人気を誇っています。
広大なエリアは大きく3つの区画に分かれており、倉庫の中にはおしゃれなデザイン雑貨のショップ、カフェ、ギャラリー、さらにはマイクロブルワリーなどがテナントとして入っています。過去の産業の面影を残す無骨な赤レンガや錆びた鉄扉と、ポップで現代的なアートのコントラストは、この場所でしか味わえない独特の空気感を生み出しています。
敷地内にはLRT(ライトレール)の線路が通っており、芝生とアートの間をゆっくりと進む路面電車を眺めながら散策するのも楽しみの一つ。ただし、エリア内は日陰が少なく、炎天下の中を歩き回るのは想像以上に体力を奪われます。日傘や帽子、こまめな水分補給を忘れずに。日差しが和らぐ夕方頃に訪れ、海風を感じながらおしゃれなカフェで涼むのが、地元民もおすすめする賢い楽しみ方です。
打狗英国領事館
📍 住所:No. 20號, Lianhai Rd, Gushan District, Kaohsiung City, 台湾 804
高雄港の入り口、西子湾の小高い丘の上に静かに佇む「打狗(ターカオ)英国領事館」。1879年に建設されたこの建物は、台湾に現存する洋館の中で最も古い歴史を持ちます。「打狗」とは高雄の古い呼び名であり、当時の港町が西洋の貿易拠点として栄えていた時代を今に伝える貴重な文化遺産です。
この領事館の最大の魅力は、丘の上から見下ろすパノラマビューにあります。麓から140段ほどの急な階段を登る必要がありますが、息を切らして登りきった先に待っているのは、高雄の近代的なビル群、行き交う大型船、そして果てしなく広がる海の絶景です。特に日没のタイミングに合わせて訪れると、西子湾の海に太陽が沈んでいく感動的な夕焼けを見ることができ、ロマンチックなデートスポットとしても人気を集めています。
赤レンガの優美な回廊が特徴の館内には、当時の歴史資料が展示されているほか、本格的なカフェ「古典玫瑰園 Tea & Art」が併設されています。アンティークな家具に囲まれた空間や見晴らしの良いテラス席で、本場イギリス式のクラシックなアフタヌーンティーを楽しむことができ、まるで100年前にタイムスリップしたかのような優雅なひとときを過ごせます。
【Tips】高雄を120%楽しむためのローカルアドバイス
台北に比べてさらに南に位置する高雄は、冬でも日中は半袖で過ごせるほど温暖ですが、夏場(5月〜10月)の蒸し暑さと日差しは強烈です。日中の屋外観光(特に蓮池潭や駁二アート特区)は早朝か夕方に回し、一番暑い昼下がりはカフェや美術館、デパートなどの屋内で涼むのが、体力を消耗しない台湾ローカルの基本スタイルです。
また、市内移動の要となるMRT(地下鉄)やLRT(ライトレール)、さらにはフェリーやレンタル自転車まで、高雄の交通機関は「悠遊カード(EasyCard)」や「iPASS(一卡通)」といった交通系ICカードが1枚あればすべてスムーズに利用できます。駅の窓口やコンビニで簡単に購入・チャージできるので、到着したら真っ先に手に入れておきましょう。特にLRTは街の景色を楽しみながら移動できるため、観光のアトラクション感覚で乗ってみるのもおすすめです。
大都市の利便性と、南国特有のゆるやかな空気が同居する高雄。今回ご紹介したスポットを軸に、自分だけのお気に入りのお店や景色を見つけて、思い出に残る台湾旅を楽しんでください。
