「神々の棲む島」と称されるインドネシア・バリ島。美しいビーチやリゾートだけでなく、島全体に息づく深い歴史と祈りの文化こそが、多くの旅行者を惹きつけてやまない最大の魅力です。
今回は、短期旅行者からリピーターまで、バリ島を訪れるなら絶対に足を運んでおきたい厳選スポットを5つご紹介します。ガイドブックに載っているような教科書通りの歴史解説にとどまらず、ベストな訪問時間帯や混雑回避の裏技、悪賢いお猿さんへの対策、そしてリアルな沐浴の作法など、現地で本当に役立つ「生の情報」をたっぷり詰め込みました。
タナロット寺院
📍 住所:Beraban, Kediri, Tabanan Regency, Bali 82121 インドネシア
バリ島の六大寺院のひとつに数えられ、海に浮かぶような神秘的なシルエットで知られるのが「タナロット寺院」です。16世紀、ジャワの高僧ダン・ヒャン・ニラルタがこの地を訪れ、「神々が降臨するにふさわしい場所」として海の守護神を祀る寺院を建立したのが始まりとされています。
この寺院の最大の魅力は、なんといってもインド洋に沈む夕日とのコントラスト。日没の時間帯は息を呑むほどの絶景が広がり、波高めの海と荒々しい岩肌が織りなす情景は圧倒的な存在感を放ちます。ただし、夕焼けを狙う時間帯はアクセス道路が大渋滞するため、スケジュールには余裕を持たせる必要があります。
一方で、「渋滞や人混みを避けたい」「ゆっくりと写真を撮りたい」という方には、あえて朝〜午前中に訪れるのがおすすめ。涼しい海風を感じながら、まるで絶景を貸し切ったかのような静寂を味わえます。
また、干潮時には本殿のある岩場まで歩いて渡ることが可能です(宗教的な理由により本殿の上には登れません)。海岸の洞窟には寺院の守り神とされる海蛇の巣があり、お布施を渡すことで聖水とともに見学できるというディープな体験も待っています。波が高い日は渡ることができない場合もありますが、波しぶきを上げる荒々しい姿もまた一見の価値ありです。
モンキーフォレスト
📍 住所:Jl. Monkey Forest, Ubud, Kecamatan Ubud, Kabupaten Gianyar, Bali 80571 インドネシア
ウブドの中心部からほど近い場所に広がる「モンキーフォレスト(聖なるサルの森)」は、単なる動物園や観光アトラクションではありません。ここはバリ・ヒンドゥーの「トリ・ヒタ・カラナ(神・人・自然の調和)」という哲学に基づいて守られている、深い精神性を持った神聖な自然保護区です。
苔むした古代寺院や巨大なガジュマルの木々が鬱蒼と茂る森の中には、数百頭の野生のカニクイザルが自由に暮らしています。池に飛び込んで遊ぶ子ザル、毛繕いし合う親ザルなど、まるで人間社会のような生態を至近距離で観察できるのが魅力です。
ただし、サルたちは非常に人慣れしており、頭も良いため手荷物には細心の注意が必要です。リュックのファスナーを器用に開けてペットボトルを奪ったり、キラキラしたキーホルダーやサングラスに飛びついてきたりすることがあります。園内を歩く際は、狙われやすい小物を必ずバッグの奥にしまいましょう。また、一部の観光客がお菓子を与えたり無理に触ろうとしたりしてサルを苛立たせている場面に遭遇することもありますが、危険なので絶対に真似をせず、距離を保って自然な姿を楽しむのが鉄則です。
日によっては無料のダンスショーやイベントが開催され、観客をステージに上げて一緒に踊ってくれるなど、ホスピタリティ溢れる体験も楽しめます。
ティルタ ウンプル寺院
📍 住所:Tampaksiring, Gianyar Regency, Bali 80552 インドネシア
ウブドの北部に位置する「ティルタ ウンプル寺院」は、10世紀から14世紀に栄えたワルマデワ王朝の時代に発見されたとされる由緒ある寺院です。「ティルタ」は水、「ウンプル」は聖なるという意味を持ち、境内からは今もこんこんと清らかな泉が湧き出ています。世界遺産にも登録されており、バリの人々が身を清めるために訪れる強力なパワースポットです。
観光客でも「ムルカット」と呼ばれる沐浴儀式を体験できるのが最大の特徴ですが、実践する際にはルールがあります。沐浴場の壁にはいくつもの聖水の噴き出し口が並んでおり、必ず「一番左から右へ」順番に進んでいくのが正しい作法です。各噴出し口で祈りを捧げ、顔や頭を3回水に浸します。ここで絶対に注意すべきは、右側に並ぶ噴出し口の中に「死者を弔うための儀式用」のものがあること。誤って浴びてしまわないよう、現地のガイドを付けるか、人々の動きをよく観察してから入水しましょう。
なお、寺院入場にはサロン(腰巻)の着用が義務付けられており、無料でレンタルできます。しかし、多くの人が使い回しているため「かなり匂いがきつい」という生の声も。匂いに敏感な方は、事前に現地の市場で安いサロンを購入して持参するのが賢い裏技です。また、駐車場周辺で売られている水は観光地価格(通常の数倍)でぼったくられる可能性があるため、飲み水は事前にスーパーなどで調達しておくことをおすすめします。帰りの順路は長めのお土産屋ストリートを強制的に通る設計になっていますので、焦らず交渉を楽しみながら通り抜けましょう。
ウルワツ寺院
📍 住所:インドネシア バリ州 バドゥン South Kuta, Pecatu
バリ島南部のバドゥン半島、インド洋を見下ろす高さ約70メートルの断崖絶壁に建つのが「ウルワツ寺院」です。海の精霊から島を守る役割を持つこの寺院は、バリ島屈指の絶景サンセットスポットとして知られています。
ここで絶対に外せないのが、夕暮れ時から始まる「ケチャックダンス(ケチャ)」の鑑賞です。楽器を一切使わず、上半身裸の男性数十人が円陣を組み「チャッ、チャッ、チャッ」という独特の掛け声だけでリズムを刻むパフォーマンスは圧巻の一言。古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした物語が展開され、クライマックスには白い猿の神様・ハヌマーンが炎を蹴り飛ばす大迫力の演出が待っています。太陽が海に沈んでいく空のグラデーションと、幻想的な炎の舞が一体となる体験は、一生の思い出になるはずです。
ただし、大人気ゆえに席は早い者勝ち。良い席を確保するためには入場開始の1時間以上前に並ぶのがベターですが、西日を遮る屋根がないため、帽子や携帯扇風機、水分補給の準備が必須です。また、ここにも野生の猿が生息していますが、スマホや自撮り棒の先をピンポイントで狙ってくるなど非常に手強いです。盗まれたものを係員が取り返してチップを要求するという「猿芝居」のような光景も目撃されているため、荷物の管理には十分警戒してください。終演後は一本道がすさまじい大渋滞を引き起こすため、余韻に浸りつつも早めに車に乗り込むのが帰りのストレスを減らすコツです。
ウブド王宮
📍 住所:F7V7+72R, Jl. Raya Ubud No.8, Ubud, Kecamatan Ubud, Kabupaten Gianyar, Bali 80571 インドネシア
ウブドの中心地、交差点のすぐそばに位置する「ウブド王宮(プリ・サレン・アグン)」は、ウブド王族が暮らしてきた歴史的建造物であり、現在も一部に王族の末裔が住んでいます。ウブド観光の中心地にあるためアクセスが良く、なんと入場無料で敷地内を見学できるのが嬉しいポイントです。伝統的なバリ建築の精巧な彫刻や美しい門を間近で見ることができ、往時の姿に想いを馳せることができます。
昼間は静かな史跡ですが、夜になると王宮の庭が華やかなステージへと変貌します。煌びやかな衣装を身にまとったダンサーと、ガムラン音楽の生演奏による「レゴンダンス」などの伝統舞踊が日替わりで開催され(鑑賞は有料)、幻想的な夜を過ごすことができます。
チケットは昼間から王宮内や周辺の案内所で購入可能ですが、座席は指定席ではなく自由席スタイル。開演ギリギリに行くと後ろの方の立ち見や見えにくい場所しか残っていないため、良い席で鑑賞したい場合は遅くとも開始15分〜30分前には会場入りしておくのがおすすめです。なお、完全な屋外であるため、雨季の夜には途中でスコールに見舞われることもあります。念のため雨具を持参しておくと安心です。また、王宮前の道路は猛スピードで通り抜けるバイクが多いため、横断の際は十分気をつけてください。
バリ島観光を120%楽しむためのローカルTips
バリ島での移動は、公共交通機関が少なく一本道での大渋滞が日常茶飯事です。そのため、効率よく快適にスポットを巡るには「カーチャーター」を利用し、現地の道に詳しいドライバーに抜け道をお願いするのがベストな選択です。
また、ヒンドゥー教の信仰が深く根付くバリ島の寺院では、露出の多い服装(タンクトップやショートパンツなど)はマナー違反となります。ほとんどの寺院でサロン(腰巻)を貸し出してくれますが、ウブド市場などで自分好みの柄のサロンを1枚安く買っておくと、写真映えも良くなり、衛生面でも安心して寺院巡りを楽しむことができます。神聖な場所への敬意を払いながら、心に残るバリ島旅行を満喫してくださいね。
