美食の街マドリードで進化するヴィーガンカルチャー
生ハムやシーフードなど、伝統的な肉・魚料理が食文化の根底にあるスペイン。しかし近年、首都マドリードではヴィーガン(完全菜食)やプラントベースのカルチャーが急速に進化しています。街を歩けば、100%植物由来でありながら「非ヴィーガンの現地人も絶賛する」ほどのクオリティを誇るレストランやカフェ、自然食品店が続々と登場しているのです。
今回は、短期の旅行者はもちろん、中長期滞在の留学生やハラル・ヴィーガン等で食事に制限がある方でも、マドリードの食を心ゆくまで楽しめる「本当に美味しいローカルスポット」を5つ厳選しました。単なる味の紹介にとどまらず、混雑具合や店内での立ち回り、必ず頼みたい必食メニューまで、リアルな熱量とともにお届けします。
Mad Mad Vegan
📍 住所:C. de Pelayo, 19, Centro, 28004 Madrid, スペイン
LGBTQ+フレンドリーでマドリードでも指折りの活気とファッショナブルな空気が漂うチュエカ(Chueca)地区。その一角に店を構える「Mad Mad Vegan」は、ヴィーガンジャンクフードの概念を覆す超人気店です。インダストリアルスタイルのお洒落な内装で、カップルやグループでのディナーにぴったりのモダンな雰囲気が広がっています。
絶対に注文すべき看板メニューは、なんと言っても「Dirty Philly(ダーティフィリー)」。パイナップルを挟んだアレンジメニューもあり、植物性パティとソースのジャンクな旨味に「今まで食べたハンバーガーで一番美味しい!」と非ヴィーガンすら唸る完成度です。サイドメニューには、とろけるヴィーガンチーズがたっぷり乗ったチーズフライや、甘みと塩気が絶妙なスイートポテトフライがおすすめ。さっぱりとしたレモンコンブチャを合わせるのが現地流です。
店内は細部までデザインが行き届いていますが、テーブルの間隔はやや狭め。しかし、それもマドリードのバル文化を彷彿とさせる心地よい賑やかさとして楽しめます。週末の夜はふらっと立ち寄っても入れないことが多いので、事前の予約を強くおすすめします。
Distrito Vegano
📍 住所:Calle de Cervantes, 8, Centro, 28014 Madrid, スペイン
かつてセルバンテスなど多くの文豪が暮らした風情あるバリオ・デ・ラス・レトラス(文学地区)。このエリアに佇む「Distrito Vegano」は、スペインの伝統料理を驚くべき技術でヴィーガン化した、美食家必見のレストランです。
メニューには、ヴィーガンチョリソーや、牛テール煮込みを見事に再現した「Rabo de la vega(ラボ・デ・ラ・ベガ)」、さらにサクサクのミラネサ(カツレツ)など、スペインやヨーロッパの郷土料理が並びます。中でも複数人で訪れた際に必ず頼みたいのが「フォンデュ盛り合わせ」。濃厚な植物性チーズの味わいは、本物のチーズフォンデュと遜色ないほど絶品です。
なお、ここは非常にこぢんまりとした店舗であり、席と席の間隔がかなり密接しています。スタッフのサービス自体は素晴らしいものの、混雑時には料理の提供に少し時間がかかったり、特別な日のリクエスト(眺めの良い席への案内など)が物理的に叶わないこともあります。「マドリードの中心部にある小さな名店」という特性を理解し、ゆったりと構えて食事を楽しむのがスマートな過ごし方です。
Mad Mad Vegan
📍 住所:C. de Lavapiés, 16, Centro, 28012 Madrid, スペイン
先にご紹介した「Mad Mad Vegan」のもう一つの拠点が、多国籍でボヘミアンな空気が漂うラバピエス(Lavapiés)地区にあります。こちらは素敵な屋外テラス席を備えており、天気の良い日に自家製の高品質なクラフトビールと絶品バーガーを流し込むのに最高のロケーションです。
チュエカ店同様にハンバーガーが絶品ですが、ここで特筆すべきは「シーフードやチキンのフェイク料理」のクオリティです。ヴィーガン仕様の「カリカリ揚げイカ(カラマリ)」は、非ヴィーガンのイカリングより美味しいと評判。また、新感覚の「コールラビの手羽先」や「クリーミーなコロッケ(クロケッタ)」などのタパスメニューは、ビールのお供として最強のラインナップです。
スペインの飲食店では稀にオペレーションの波があり、ハンバーガーが冷め気味で提供されるといったローカルな洗礼を受けることも。しかし、スタッフのフレンドリーさと温かい歓迎、そして何より料理に込められた情熱がそれを補って余りある魅力を放っています。ヴィーガンのハードルが高いマドリードにおいて、心からリラックスできるオアシスのような存在です。
Oveja Negra Vegana
📍 住所:C. de Buenavista, 42, Local Derecha, Centro, 28012 Madrid, スペイン
プラド美術館から歩いてすぐの路地裏にある「Oveja Negra Vegana(黒い羊のヴィーガン)」は、ただのレストランではなく、社会貢献や動物福祉、LGBTQ+の権利を掲げる「クィア・ヴィーガン居酒屋(タベルナ)」です。多様性を受け入れるこの空間は、留学生や移住者が強い帰属意識を感じられる場所として、熱狂的な支持を集めています。
人気メニューは、エンパナディータ(パイ包み揚げ)やクロケッタといった自家製のタパス、そしてボリューム満点の「クィアバーガー」。また、パレスチナコーラを提供するなど、理念に基づいた独自の商品セレクトも特徴です。タンパク質不足を微塵も感じさせない、ガツンとくる味わいとボリュームが魅力です。
店内はかなり狭く、週末の夜は満席になり熱気に包まれます。スタッフ同士がフラットな関係性であるがゆえに、厨房から率直な意見が聞こえてきたりと、インディペンデント系のローカル店ならではの「荒削りな生っぽさ」があります。そうしたアンダーグラウンドでディープな空気を愛せる人にとっては、マドリードで一番のお気に入りになること間違いなしのスポットです。
Veggie Room
📍 住所:C. de San Vicente Ferrer, 19, Centro, 28004 Madrid, スペイン
外食だけでなく、自炊やホテルでの間食用の買い出しに絶大な人気を誇るのが、マラサーニャ(Malasaña)地区にある「Veggie Room」です。ピンク色の可愛らしい外観が目を引くこのお店は、マドリードにおけるヴィーガン自然食品店のパイオニア的存在です。
店内には所狭しと商品が並んでおり、特に100%植物由来のチーズや代替肉、ヴィーガン用スイーツ(ドーナツやブラウニーなど)の品揃えは圧巻。旅行中のちょっとした軽食や小腹を満たすアイテムを探すのに最適です。さらに食品だけでなく、クルエルティフリー(動物実験を行っていない)の衛生用品や洗剤も揃っているため、中長期滞在者にとってはまさに「命綱」とも言えるショップです。
スタッフのホスピタリティが非常に高く、もし探している商品が在庫切れの場合でも、親身になって代替品を提案してくれます。オンライン通販も行っており、梱包の丁寧さやトラブル時の迅速なWhatsApp対応は地元民からもお墨付き。お菓子屋さんに入った子どものように、ワクワクした気分で買い物を楽しめる名店です。
まとめ:マドリードでヴィーガングルメを楽しむためのTips
マドリードのヴィーガンシーンは、単なる「健康志向」の枠を超え、スペインならではの濃厚な味わいとガストロノミーを追求するフェーズに入っています。ヴィーガン専門店であれば、非ヴィーガンの友人や家族を連れて行っても大満足させられるクオリティが担保されているのが嬉しいポイントです。
スペインの夕食時間は通常20時半〜21時以降と遅めですが、人気のヴィーガンレストランは店舗面積が狭い傾向にあるため、20時台には満席になることも珍しくありません。どうしても行きたいお店には、前日までのネット予約や、オープン直後の少し早めの時間を狙うのが、旅行者や短期滞在者におすすめの戦略です。
美味しいタパスとワイン、そして温かい人情。植物由来の食事が持つ可能性を最大限に引き出したマドリードのローカルスポットで、一生の思い出に残る最高の食体験を見つけてください!
