ミラノといえば「ミラノ風カツレツ」や「オソブーコ(仔牛の骨髄煮込み)」など、伝統的な肉料理のイメージが強いかもしれません。しかし近年、ミラノはヨーロッパ有数のヴィーガン先進都市として驚くべき進化を遂げています。
動物性食材を一切使わない「100% Plant-based(植物由来)」のレストランやカフェが街のあちこちに誕生し、そのクオリティはヴィーガンだけでなく、地元の美食家や雑食の現地の若者たちをも虜にしています。また、豚肉やアルコールなどの制限があるハラルを探す旅行者・留学生にとっても、ヴィーガンレストランは安心して食事ができる強力な味方です。
今回は、ただの「ヘルシー志向」で終わらない、ガツンと美味しくて現地の熱気を感じられる、ミラノで絶対に訪れるべきヴィーガングルメスポットを5つ厳選してご紹介します。朝のベーカリーから、ローカルに愛されるストリートフード、記念日に行きたい高級店まで、シーンに合わせて活用してください。
Pasticceria Nepà 100% plant-based
📍 住所:Via S. Gregorio, 45, 20124 Milano MI, イタリア
ミラノ中央駅からも徒歩圏内(レプッブリカ地区周辺)に位置する「Pasticceria Nepà」は、100%植物由来の食材のみを使用する完全ヴィーガンのパティスリー&ベーカリーです。洗練されたインテリアと心地よい音楽が流れる店内は、現地の若者やノマドワーカー、中長期滞在者たちのリラックス空間として愛されています。
ここで絶対に食べておきたいのが「ヴィーガンクロワッサン」と「シナモンロール」です。バターや卵、牛乳を一切使っていないとは信じられないほど、サクサクの層と芳醇な風味が広がり、口コミでも「世界中で食べたヴィーガンクロワッサンの中で最高レベル」と絶賛されるほどのクオリティを誇ります。甘いペストリーだけでなく、塩気の効いたセイボリー系のクロワッサンもボリューム満点で、遅めの朝食やブランチに最適です。
ドリンクメニューも充実しており、見た目も鮮やかな「ピンクラテ」はSNS映えするだけでなく高品質な味わい。オーツミルクやアーモンドミルク、ココナッツミルクなど、植物性ミルクのオプションも豊富に揃っています。ただし、午後には人気スイーツが次々と売り切れてしまうため、豊富なラインナップから選びたい方は、午前中の早い時間に訪れるのが現地の鉄則です。
VegAmore
📍 住所:Via Crema, 12, 20135 Milano MI, イタリア
ポルタ・ロマーナ地区にある「VegAmore(ベガモーレ)」は、心温まる手作り料理とアットホームな接客が魅力の小さなヴィーガンビストロ。「Respect, Thoughtless Love(敬意、見返りを求めない愛)」を理念に掲げ、家族経営のような温かいおもてなしで旅行者の疲れを癒してくれます。紙のランチョンマットには絵を描くためのマーカーと鉛筆が用意されており、待ち時間も楽しめるような遊び心が満載です。
このお店の最大の魅力は、圧倒的なコストパフォーマンスを誇る「3コース・ワンプレート」。ファーストコース(炭水化物系)、セカンドコース(植物性たんぱく質メインのおかず)、サイドディッシュ(野菜)を、黒板の豊富な日替わりメニューから自由に組み合わせて1皿に盛ってもらうスタイルです。約13ユーロ前後とお手頃な価格で、栄養満点の美味しいヴィーガン料理をお腹いっぱい楽しむことができます。
手作りのデザートも評判で、アップルカスタードケーキやチョコレートブラウニーなどは食後のコーヒーと相性抜群。店舗は外部ラボで調理を行っている関係で、夕食時の遅い時間帯にはメニューが売り切れてしまうことも。ランチタイムや早めのディナーを狙うか、テイクアウトして近くの公園でピクニック気分で味わうのもおすすめです。
Linfa
📍 住所:V. Ambrogio Bergognone da Fossano, 24, 20144 Milano MI, イタリア
ミラノの感度が高いデザインディストリクトに位置する「Linfa」は、イタリアで初めて100%植物性かつ「グルテンフリー」を掲げた革新的なコンセプト・レストランです。店内は高級感があり、スタッフのきめ細やかなサービス(グラスが空けばすぐに水を注いでくれるなど)が行き届いており、記念日のディナーや、ちょっと贅沢な体験をしたい旅行者にぴったりの空間です。なお、完全キャッシュレス店舗なので、クレジットカードやスマート決済の準備を忘れずに。
料理は単なる代替食の枠を超え、食感と風味を徹底的に研究した美食アートの領域に達しています。カシューナッツとピーマンのソースを合わせたニョッキや、トリュフが香る一皿、そしてマッシュルームを使って驚くべき食感を再現した「ミラノ風カツレツ」など、イノベーティブなメニューが並びます。さらに植物性の寿司やピザといった多国籍なアプローチも楽しめます。
おすすめは、前菜からデザートまでお店の実力を堪能できる「テイスティングメニュー」。お値段はコースで頼むと高額(一人あたり約100ユーロ前後)になりますが、グルテンフリー&ヴィーガンでこれほどまでに完成されたフルコースを味わえる場所は、ヨーロッパ中を探してもそう多くありません。ヴィーガンの方やセリアック病の方はもちろん、新しい食の可能性を体験したい全ての方におすすめです。
La Colubrina
📍 住所:Via Felice Casati, 5, 20124 Milano MI, イタリア
「La Colubrina」は、肉食のイタリア人たちをも唸らせる、驚きに満ちた絶品ヴィーガンイタリアン・レストランです。オーナーのフレンドリーで情熱的な接客が、お店の居心地の良さを何倍にも引き上げています。ここでは、昔ながらのイタリア伝統料理を植物性食材だけで見事に再現しており、妥協のない味付けが地元民から熱狂的な支持を集めています。
絶対に注文すべき看板メニューは「ヴィーガンチーズのテイスティングプラッター」です。カシューナッツなどを発酵させて作られた自家製の熟成チーズは、ブルーチーズ風やカマンベール風など、本物の乳製品と遜色ない濃厚なコクと舌触りを持ち、「今まで食べた中で最高のヴィーガンチーズ」と多くの客を虜にしています。メインディッシュのセイタン(グルテンミート)ステーキや、トリュフ入りの「カチョ・エ・ペペ(チーズと胡椒のパスタ)」も悶絶級の美味しさです。
デザートのヴィーガンティラミスやココアのチーズケーキまで、全てが自家製で愛情たっぷりに作られています。一つ注意点として、料理はすべて注文を受けてから丁寧に調理されるため、提供までに時間がかかる(時に45分ほど待つ)ことがあります。イタリアの「スローフード」文化をリスペクトし、美味しいワインやドリンクを傾けながら、大切な人との会話をゆっくり楽しむディナータイムに訪れるのがベストです。予約は必須レベルの繁盛店です。
Focacceria Cecino
📍 住所:Via Alfonso Lamarmora, 22, 20122 Milano MI, イタリア
旅行中、サクッと手軽に、でも最高に美味しいローカルフードを食べたい!そんな時に外せないのが、クロチェッタ地区にある小さな名店「Focacceria Cecino」です。ここは100%植物性のメニューを提供するフォカッチャ専門店で、ミラノのストリートフードの最高峰とも言える存在です。
ショーケースには、色とりどりの具材が挟まれたフォカッチャサンドが並びます。中でもおすすめは、ひよこ豆の粉で作った香ばしいクレープ状の「ファリナータ(チェチーナ)」と、フレッシュなペスト(バジルソース)、ジャガイモ、インゲン豆をふっくらとしたフォカッチャで挟んだ一品。一口噛めば、オリーブオイルの香りと具材のハーモニーが口いっぱいに広がり、感動すること間違いありません。卵不使用なのに濃厚で美味しい「ズッキーニタルト」や、温かいパンにとろけるチョコレートが絶品の「ダークチョコレート・フォカッチャ」も見逃せません。
店内は立ち飲みスペースが数席あるだけの非常にミニマルな造りですが、スタッフは英語のメニューを用意してくれたり、気さくに話しかけてくれたりと非常に親切です。お店の外のベンチで食べるのも良いですが、数ブロック先にある緑豊かな公園まで歩き、そこでピクニック気分でフォカッチャにかぶりつくのが、地元っ子たちの定番スタイルです。
ミラノでヴィーガングルメを楽しむためのリアルな立ち回り術
1. メニュー表記と「Plant-based」の理解
ミラノのレストランでは、「Vegan(ヴィーガン)」という言葉だけでなく、「100% Plant-based(完全植物由来)」という表記が好んで使われる傾向にあります。ハラルなどの理由で豚肉や動物性のお肉、ラードなどを避けている旅行者にとっても、この「Plant-based」マークがあるお店は非常に選びやすい選択肢となります。ただし、ソースやデザートの風味付けにアルコール(ワインやリキュール)が使用されている場合があるため、アルコールを厳密に避けている方は、注文時に「Senza alcol, per favore(アルコール抜きでお願いします)」とスタッフに確認しましょう。
2. 営業時間の罠と「売り切れ」に注意
イタリアの飲食店は、ランチ(12:30〜15:00)とディナー(19:30〜23:00)の間に中休みを取るのが一般的です。ヴィーガンレストランも例外ではありません。また、今回紹介したような個人経営の人気店や、食材にこだわるお店では「手作りのためその日の分が売り切れたら終了」というケースが多々あります。特にベーカリー系のペストリーや、ビストロの日替わりメニューを狙うなら、各営業時間の「オープン直後から1時間以内」に滑り込むのが、充実した選択肢からメニューを選べる秘訣です。
3. ゆっくりとした時間を楽しむ「スローフード精神」
「La Colubrina」の項目でも触れましたが、ミラノの本格的なヴィーガンレストランはファストフードではありません。オーダーが入ってからヴィーガンチーズを切り出し、丁寧にソースを乳化させるため、料理の提供には時間がかかります。「待たされている」とイライラするのではなく、現地の人のようにアペリティーボ(食前酒やモクテル)を楽しみながら、リラックスして会話に花を咲かせるのが、ミラノでのディナーを100倍楽しむコツです。
